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結婚式を打っ飛ばせ

先日、珍しい人からメッセンジャーの発言が送られてきた。
この人とは私が以前ヘイブンの鍛冶屋に立っていた時に知り合い、当時はよく一緒に遊んだ。
なかなかエキセントリックな個性の持ち主だったため、いつも楽しませてもらっていたものだった。
しかし彼がSakuraサーバーからHokutoサーバーに移転し、
また私が人狼に多くの時間を割くようになってからというもの
顔を合わせる機会はめっきりと減っていた。

私は懐かしい気持ちとどうしたんだろうという気持ちを半々に抱きつつ彼のメッセに答えた。
話を聞いてみると、どうやらHokutoサーバーでUO婚を行うことになり、
その結婚式に是非参加してくれないか、というものであった。

正直びっくりしてしまった。
それというのも、確かに彼は一部に人気者ではあったが、
電波極まり無い時が多々ある彼が身に纏う人気というのもイロモノ的なもので、
ネタだとしてもUO婚という単語が彼と結びつくイメージが持てなかったのだ。


 ふりすく太郎 の発言 :
  で
 ふりすく太郎 の発言 :
  何処のどなた様なんだ
 ふりすく太郎 の発言 :
  その奇特な新婦様は
 ●●●●● の発言 :
  俺
 ふりすく太郎 の発言 :
  うん
 ふりすく太郎 の発言 :
  え
 ふりすく太郎 の発言 :
  もしかして新婦がお前?
 ●●●●● の発言 :
  wwwwwwww
 ●●●●● の発言 :
  見に来てね(^^♪
 ふりすく太郎 の発言 :
  ちょ
 ふりすく太郎 の発言 :
  お前北斗でネカマ
 ふりすく太郎 の発言 :
  やってんのかよ
 ●●●●● の発言 :
  wwww

どうやらそういうことらしい。
彼、というかこいつは自称34歳のオッサンで、
酒に酔っては故橋本真也という存在の偉大さや、
プロ野球チーム阪神についての思い入れ等を、涙ながらに語ったりしていた奴だったのだが、
バシネット道を極めると言って旅立った先の北斗で、
いつの間にかネカマ道を上ることに精進していたらしいのだ。

ということは、今回の新郎は34歳のネカマに引っ掛かった可哀想な人なのだ。
新婚の晩に生活習慣病の話を聞かされている新郎を想像して私は哀れに思った。
自らの注意力不足とはいえ、一人の人間が
そんなトラウマ的な出来事に見舞われそうになっているのを放っておいて良いのだろうか。
私は心中に正義感が沸き上がるのを感じ、
ここにネカマの手から新郎を救えオペレーションが始まった。

作戦は単純だ。
結婚式の最中に現れ、新婦がネカマであることを暴露・・・うーん、これではインパクトが薄いだろうか。
いっそのこと映画の『卒業』ばりに新郎を奪い取って逃げるというのはどうだろうか。
それがいい。
悪しき者の手から弱き者を救い出す、まるで物語の騎士じゃないか。
そうだ、私は正義の騎士になるんだ。



ブリタニアの騎士と言えば、皆が真っ先に思い出すのはやはりこの御方だろう。

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ある時期にブリタニアに颯爽と現れ、多くのプレイヤーを虜にした聖騎士様である。
魂の純粋さと完璧なる正義を象徴するその純白の御姿は、
ブリタニアに住まう者の記憶に刻み込まれ、今なお多くのフォロワーを生んでいる。
私も作戦の成功を祈り、この聖騎士様に肖ったキャラで結婚式に殴り込むことにした。

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ネカマの奴は当然周囲の人間を丸め込んでいることだろうが、
この姿を見れば、どちらが悪でどちらが正義かブリタニアに住まう民ならば一目瞭然だろう。

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作戦に一分の隙も無い。

事前に結婚式場にてハイド落ちをし、式が半ばに差し掛かったところで飛び出す計画だったのだが、
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開始予定時間より少し遅れてログインしたところ、式半ばどころかまだ始まってもおらず、
その上頭から青ローブを被ったSPにハイドを見破られ、始まるまで外で待つように指示される。
これだから時間にルーズな奴は。

ここで粘って追い出されても仕方が無いのでいったん外に並び、
多くの参列者に混じって入場し潜むことにした。
幸い参列者の多くがこの日のために着飾った派手な格好であったため、
私の純白の身体もあまり目立たないですんだ。

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全く違和感が無い。

しかし私はここである異変に気付く。
当初私はネカマに騙されるような奴が新郎ということで、
相手はそこらのトラメルまったりギルドのギルメン辺りだろうと踏んでいたのだが、
会場の雰囲気を察するにどうもそうではないことに気付いたのだ。
周りの人間の中には、確かにまったりな感じを出している人もいることにはいるのだが、
大半の人間は物腰に隙が無く、張り詰めた空気を背負っていた。
いや、空気を感じたというか、
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赤ネームいっぱいじゃないか。
新郎まで赤ネームでいやがる。
明らかに堅気じゃない装備を着けている者ばかりだ。
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どうやら奴は極道の妻になるらしい。
だが極道といえども放っておくわけにはいかない。
目の前の不善な行為を捨て置くようならば、この純白の姿が背負った正義が穢れてしまうのだ。

作戦は一筋縄ではいきそうにない。
何か怪しい動きをしようものならば、説明など聞く耳も持たないまま
トラメラーの私が味わったことのないようなSKが飛んできそうな雰囲気なのだ。
タイミングを誤れば死ぬ・・・。
恐怖が私の背筋を凍り付かせた。
そうこうしている間に式は始まり、
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どんどんと進んでいく。
私が恐れを噛み砕き、勇気の一手を以って奴に制裁を加えようとすると、
重苦しく危うい空気が纏わり付きそれを押し戻す。
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一見温和な雰囲気の裏に、斯くも熾烈な戦いが続けられていた。
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結局のところ、私はその鈍重な幕を開けることは出来ず、
一歩も動けないまま式は、
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終わってしまった・・・。


何も、何も出来なかった、と私は自らの非力さを恨んだ。
その私の前に、奴が嫌らしい笑みを浮かべながら現れた。

 ●●●●●:終わっちゃったよ?w

追い討ちをかけるかのような奴の台詞に、私は打ちのめされた。
こんな奴に負けていいのか。
せめて一太刀、私が戦った証を奴に浴びせてやるんだ!
先程まで縛られていた手足が嘘かのように、自然に身体が動いた。

 shiroi koibito:正義の刃を受けろ!

しかし、奴も安穏と極道の妻の座に収まっていたわけではなかった。
私の刃はいとも簡単に交わされ、奴が腕を振り上げた次の瞬間、
私は地に伏していた。
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 ●●●●●:ちょwwwww
 ●●●●●:正義とかwwww
 ●●●●●:温すぎwwwwwwwww
 ●●●●●:熱々の味噌汁dえww
 ●●●●●:顔洗ってこいwwwwwwwwwwwwww
 ●●●●●:インwwwwwwwwwザwwwwwwwww
 ●●●●●:ミソスープwwwwwwwwwwwwww
 ●●●●●:wwwwwかはっwwwwwwwwwwwwww

勝てるはずがなかった。
色々な意味で私は奴に負けていた。
私は正義の非力さを、いや力を持たない正義の無意味さを感じ、
失意のうちにログアウトしたのだった。





その後の奴とのメッセのやり取りで、
どうやら新郎は奴がネカマだということを知ってたということが判明した。

 ●●●●● の発言 :
  ネカマでもいいかまわないっていわれて
 ふりすく太郎 の発言 :
  阿呆だな
 ●●●●● の発言 :
  キュンって
 ●●●●● の発言 :
  ってきちゃった
 ふりすく太郎 の発言 :
  キュンじゃねぇよ
 ふりすく太郎 の発言 :
  しんどけ
 ●●●●● の発言 :
  怖い><
 ●●●●● の発言 :
  もっと優しく
 ●●●●● の発言 :
  言って
 ふりすく太郎 の発言 :
  キュン(はぁと じゃないよぉ。
 ふりすく太郎 の発言 :
  死んじゃえ→☆ミ
 ●●●●● の発言 :
  おまえきもいな
 ふりすく太郎 の発言 :
  うるせぇ


おしまい。




あ、SS以外全部捏造です。
一応。


おまけ
某人の珍しいショット。
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どこかわかりませんけど、今度伺いますね。
by frisk_tarou | 2006-01-17 21:17
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