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時には昔の話を-2-

(この記事は「時には昔の話を-1-」からの続きです。)

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彼は私より1ヶ月程早くブリタニアに降り立ったのですが、
その時間の差以上に、私よりブリタニアに関する様々なことを詳しく知っていました。
ブリタニアで生活を始めて以来、ずっとヘイブンの周りで生産をしていた私を、
彼は広大な世界へと連れ出してくれました。
ヘイブンとはまた違う雰囲気を持った各地の街や村。
見たことも無いモンスターが闊歩する危険なダンジョン。
人里遠く離れた場所にひっそりと存在する謎の建造物や、大いなる自然の風景。
ブリタニアと違う次元に存在する異世界。
ずっと同じ町にしかいなかった私にとって、
毎日少しずつ自分の世界が広がっていく楽しさは格別であり、その新たな発見を助けてくれたのは彼でした。



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しばらくの間二人とも無言で水の流れ落ちる様を見つめていました。


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ここは私のお気に入りで、今でもたまに独りで訪れたりします。



彼は自らのことを料理人と名乗っていました。
周囲の人間には、「戦うコックさん」なんて呼ばれ方もされていたみたいですw
「料理人は、自ら材料を見極め、選別し、揃えるところから料理を始めるんだ。」と言って、
包丁1本晒に巻いて、じゃない、包丁1本を片手に、
私なら名前を聞くだけで震え上がってしまうような強敵のモンスターに立ち向かい、
文字通り料理してしまうのでした。
(料理スキルGM記念に振舞ってくれた「ドラゴン肉のフィレンツェ風ステーキ」の味は、
食べている最中に他のドラゴンのブレスで死に掛けたことと合わせて、今でも忘れられませんw)
料理スキルを持っている人は、彼以外にも幾人かいましたが、
彼の様に戦闘までこなすことのできる料理人というのは珍しく、
私は彼がそのようにして料理に拘る訳に興味を持つようになりました。

彼が料理人を名乗る理由は、どうやら戦闘時以外常に握っている、紫色の包丁にあるようでした。
(戦闘時以外というのは、彼は常に複数本の包丁を持ち歩き、相手によって使い分けていたので。
曰く、「材料によって道具を使い分けられてこそ本当の料理人だ。」)
私もブリタニアの世界に慣れて来ると、一般的なアイテムの価値というものを徐々に知り、
彼が大事そうに握るその包丁が、客観的な価値としては、そう大したものではないとわかるようになりました。
そこで、ある時彼にそのことを聞いてみたのです。
彼は「本当に大したことじゃないんだけどね」と、照れながら教えてくれました。

その包丁は、彼がUOを始めて間もない頃に、ヘイブン墓地のスケルトンから出したもので、
当時、アイテムのプロパティについて余り知らなかった彼は、
その紫色の刃を見て、「これってレアなアイテムなんじゃない?」と思い大切に持ち歩いていました。
しかし、しばらくするうちにその包丁はレアでも何でもなく、
ごくありふれたアイテムだとわかったのですが、そこで彼は考えました。
「例えその包丁自体が特に珍しくもないアイテムだとしても、
その包丁を手に入れて嬉しかった時の、俺のあの喜びは本物なんだと思う。」
「ブリタニアというのは仮想空間ではあるけど、その中に生きる俺や君の感情は嘘偽り無いものだ。」
「俺はそのことを忘れないため、ほんの些細なきっかけで、料理人になろうと思ったんだよ。」
そして彼は続けました。
「ブリタニアで生きていくために大切なものって何だと思う?」
「お金やアイテムだったり友人だったり、まぁ人によって違うよね。
俺は、自分自身に対する拘りが最も大事だと思っているんだ。」
「誇りやプライドと言い換えてもいいけど、自分がブリタニアでどう生きていくのか、
それをしっかり見つめ、内に持ち続けることができる人間になりたいんだ。」
「俺のこの包丁は、言わばその小さな拘りの象徴、なのかな。」

自分自身への拘り。
この言葉は今でも私の胸の中に強く残っています。
私はこのようなことを語ることのできる彼を、MMOプレイヤーとして尊敬する一方で、
一人の人間として好きになり始めていたのでした。

しかし・・・。
(「時には昔の話を-3-」に続きます。)





おまけ
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言ってくれませんでしたw
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by frisk_tarou | 2005-04-06 18:19 | Frisky! | Comments(0)